足るを知る

スッキリ・凛とした生活を送りたい。日々のアレコレ。

友人のものを盗んだFちゃんと、そのお母さんのこと。

f:id:yunbox:20150719180215j:plain

娘が小学校5年生の頃のこと。

手芸が大好きな娘は、担任の先生の許可のうえで、
雨の日は教室で手芸をしていました。
同じく手芸好きな子が仲間に加わり、4,5人で。

自分のお小遣いを貯めて、100均で糸やハギレ・綿を買い、
それはそれは楽しそうに作っていました。

ある日、娘が、
「ママ、綿がなくなっちゃった〜」。
それまでも良くモノを落としていた娘、
私も彼女も、二人で「どこかに落としちゃったんだね〜」なんて言っていたのですが。

しばらくして、
同じクラスの友人(Fちゃん)に盗まれていたことが分かったのです。

担任の先生によると、
そのことが分かったのは、Fちゃんのお母さんの気づきがあったから。
1学期末にお道具箱を持ち帰った時に、
その中に覚えのない色々なものが入っていたと、
あわてて学校に電話をしたそうなのです。

担任の先生が調べた結果、
娘の他にも3人の女の子が、
手芸用品や文房具を盗まれていたことが判明。
でもどの子も、自分がなくしちゃったと思っていました。

モノを盗られた子4人は、終業式の日にクラスに残され、
先生から事情を説明され、Fちゃんからの謝罪を受けました。
先生に「許しますか?」と質問され、
無言になってしまった4人の女の子たち。
先生は静かに、
「ゆっくり考えて、始業式の日にまたお話させてください」と、
言ってくださったとのこと。
(保護者にはその後、電話で説明がありました)

Fちゃんは学校にきていたお母さんと校長室へ行ったそうです。

Fちゃんのお母さんからはその日の夜、お電話がありました。
4人の保護者全員に、まずはお電話で謝罪をとのこと。
涙声で謝罪されるお母さんの言葉を聞いていたら、
どんなに勇気のいることだったかと思うと、
こちらも涙が出てきました。

「ご自宅に伺って直接謝罪させていただきたい」というお母さん。
でも、もうお電話だけで十分でした。
Fちゃんには、始業式でもう一度子どもたちと話して欲しいと伝えました。
と同時に、「大丈夫だよ」とも、伝えてもらいました。
娘ももう、ゆるす気持ちになっていたから。

事情があり、フルタイムで働き始めたばかりのお母さん。
目が行き届かないことをしきりと悔み、謝ってらっしゃいましたが、
私は逆に、よく気づいて下さったなあと感心したのです。
これは、主人も同意見。
5年生だったらお道具箱の整理はもう子どもに任せられます。
わが家でも実際、娘のお道具箱はもう確認していませんでした。
それをちゃんと一緒に確認し、異変に気づき。

そしてもっと素晴らしいなと思ったのは、
すぐさま学校に連絡し、Fちゃんの行いを明らかにしたこと。
隠そうと思えば隠せたけれど、
ちゃんと最初から、先生を交えて対処されていました。

私だったら、どうしただろう。
もしかしたら、娘が同じことをしたら、隠したかも。
そう思わずにはいられませんでした。

家族4人で、そのことについて色んな話ができました。
こういう言い方は失礼でしょうが、
とても良い機会でした。

我が子たちも、「Fちゃんのお母さんすごいね。」と。
自分(や家族)の間違いを明らかにすることができる勇気は、
とてもとても、素晴らしいです。

目の前で自分のお母さんが、
先生たちに謝罪し、
友達のお母さんに謝罪し、
涙を流している姿を見た、Fちゃん。
どう感じたのでしょうか。

Fちゃんのお母さん、電話口で、
「どのお母様たちも優しい言葉をかけてくださって、、、、」
と号泣されていました。

どのお母さんたちもきっと、 他人事ではないと感じたのでしょうね。
そしてきっと、同じような会話を家族でされたのだと思います。

その後、Fちゃんの話を娘から聞くことはなかったのですが、
今はすっかり素敵なお姉さんになって、
弟妹の面倒をみている姿をたまに見かけます。

あの時のFちゃんのお母さんは立派だったと、
いつも思っています。
夏休みになると、その時のことを思い出します。