友人のものを盗んだFちゃんと、そのお母さんのこと。
娘が小学校5年生の頃のこと。
手芸が大好きな娘は、担任の先生の許可のうえで、
雨の日は教室で手芸をしていました。
同じく手芸好きな子が仲間に加わり、4,5人で。
自分のお小遣いを貯めて、100均で糸やハギレ・綿を買い、
それはそれは楽しそうに作っていました。
ある日、娘が、
「ママ、綿がなくなっちゃった〜」。
それまでも良くモノを落としていた娘、
私も彼女も、二人で「どこかに落としちゃったんだね〜」なんて言っていたのですが。
しばらくして、
同じクラスの友人(Fちゃん)に盗まれていたことが分かったのです。
担任の先生によると、
そのことが分かったのは、Fちゃんのお母さんの気づきがあったから。
1学期末にお道具箱を持ち帰った時に、
その中に覚えのない色々なものが入っていたと、
あわてて学校に電話をしたそうなのです。
担任の先生が調べた結果、
娘の他にも3人の女の子が、
手芸用品や文房具を盗まれていたことが判明。
でもどの子も、自分がなくしちゃったと思っていました。
モノを盗られた子4人は、終業式の日にクラスに残され、
先生から事情を説明され、Fちゃんからの謝罪を受けました。
先生に「許しますか?」と質問され、
無言になってしまった4人の女の子たち。
先生は静かに、
「ゆっくり考えて、始業式の日にまたお話させてください」と、
言ってくださったとのこと。
(保護者にはその後、電話で説明がありました)
Fちゃんは学校にきていたお母さんと校長室へ行ったそうです。
Fちゃんのお母さんからはその日の夜、お電話がありました。
4人の保護者全員に、まずはお電話で謝罪をとのこと。
涙声で謝罪されるお母さんの言葉を聞いていたら、
どんなに勇気のいることだったかと思うと、
こちらも涙が出てきました。
「ご自宅に伺って直接謝罪させていただきたい」というお母さん。
でも、もうお電話だけで十分でした。
Fちゃんには、始業式でもう一度子どもたちと話して欲しいと伝えました。
と同時に、「大丈夫だよ」とも、伝えてもらいました。
娘ももう、ゆるす気持ちになっていたから。
事情があり、フルタイムで働き始めたばかりのお母さん。
目が行き届かないことをしきりと悔み、謝ってらっしゃいましたが、
私は逆に、よく気づいて下さったなあと感心したのです。
これは、主人も同意見。
5年生だったらお道具箱の整理はもう子どもに任せられます。
わが家でも実際、娘のお道具箱はもう確認していませんでした。
それをちゃんと一緒に確認し、異変に気づき。
そしてもっと素晴らしいなと思ったのは、
すぐさま学校に連絡し、Fちゃんの行いを明らかにしたこと。
隠そうと思えば隠せたけれど、
ちゃんと最初から、先生を交えて対処されていました。
私だったら、どうしただろう。
もしかしたら、娘が同じことをしたら、隠したかも。
そう思わずにはいられませんでした。
家族4人で、そのことについて色んな話ができました。
こういう言い方は失礼でしょうが、
とても良い機会でした。
我が子たちも、「Fちゃんのお母さんすごいね。」と。
自分(や家族)の間違いを明らかにすることができる勇気は、
とてもとても、素晴らしいです。
目の前で自分のお母さんが、
先生たちに謝罪し、
友達のお母さんに謝罪し、
涙を流している姿を見た、Fちゃん。
どう感じたのでしょうか。
Fちゃんのお母さん、電話口で、
「どのお母様たちも優しい言葉をかけてくださって、、、、」
と号泣されていました。
どのお母さんたちもきっと、
他人事ではないと感じたのでしょうね。
そしてきっと、同じような会話を家族でされたのだと思います。
その後、Fちゃんの話を娘から聞くことはなかったのですが、
今はすっかり素敵なお姉さんになって、
弟妹の面倒をみている姿をたまに見かけます。
あの時のFちゃんのお母さんは立派だったと、
いつも思っています。
夏休みになると、その時のことを思い出します。