【読書記録】引き際の美学
この本は、とてもとても良い本でした。
読んで良かった。そう思える本です。
5つの章から成り立っている本です。
- 引き際は潔くあれ
- 仕事は「終わり」を意識せよ
- 「ここ一番」の勝負を見極める
- 男と女の別れ際
- 今際の際、人生の幕引き
私が素晴らしいと思った部分は、次のとおりです。
1.本田技研の創業者、本田宗一郎氏のエピソード
本田宗一郎氏の数々のエピソードが載っています。
特に、次の一文が響きました。
「社長なんて偉くもなんともない。課長、部長、包丁、盲腸と同じだ。要するに命令系統をはっきりさせる記号にすぎない」
そんな本田氏が後日、「残念なことがある」といっていたことがあった。それは何か。「ホンダ」という名を残したことだというのだから、本当にすごい人である。
2.「教え足りない」くらいで譲り渡す
あなたが自分のイズムをあとに残る者たちに伝えたい、あるいは自分の習得した技術・技能のノウハウを部下に引き継いでもらいたいと願うなら、中身よりもむしろ引き際を飾って印象を強くし、記憶に残る人になったほうがいい。
私の先輩のHさんが、まさにこんな方です。
「いつでも聞ける」と思えばいい加減になる。ありがたみがなくなる。
本当ですよね。私はHさんがいなくなって、必死に勉強中です。
もちろん、折々にいろいろと教えて頂いていますが、その前に自分で調べ、学ぶということを、忘れないようにしています。
Hさんの偉大さを実感する、今日このごろ。
3.後進へ道を開く
とくに上の人間はピーク時にさっさと辞めるほうがいい。日本の政治や経済が滞っている原因がいろいろ指摘されているが、何より問題なのは「老害」ではないか。
惜しまれているうちに辞めることの、大事さ。
周りの人たちを見て、この時期はとくに実感しています。
「あの人、まだいるんだ」と言われる人。
「あれ、あの人、あんなにできるのにもう、やめちゃったの!?」と言われる人。
さまざまです。
4.人生の幕の閉じ方を考えておく
今現在が健康だからでしょうが、老後は夫婦で、または一人で自力で暮らしたいです。
同年代でもう、子どもの面倒になることを考えている人がいます。
私はイヤです。
自分の力で暮らしたい。
そう思っていたら、体の自由が聞かずに世話にならざるをえなくなったときに感謝の気持ちが出てくるし、自然と「ありがとう」という気持ちになると思います。
私の祖父母がそうでした。夫婦二人で90すぎまで暮らし、祖父が亡くなっても祖母は一人で100歳近くまで生活していました。子どもたちやヘルパーさんの力を借りて。
いつもいつも、「ありがとう」「幸せだ」という言葉を口にして。
これが、「面倒みてもらって当たり前」だと、面倒を見る人達の負担は大きすぎる。
祖父母に、大事なことを教えてもらいました。
この他にも、なるほどと思わせてもらえることがたくさん載っています。
「始める」よりも「終わる」ほうが難しい。
引き際に、生きざまが出る。
常に心にとめておきます。
↓次は、この本。