足るを知る

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【読書記録】高峰秀子の捨てられない荷物

先日読んだ「高峰秀子の流儀」は素晴らしかったのですが、

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この、「高峰秀子の捨てられない荷物」は、読むのに苦労しました。

筆者の斎藤明美さんと高峰秀子さん、そして旦那さんの松山善三さんとの日々の交流が書いてあります。
そしてその合間合間に、高峰さんや松山さんの生い立ちや考え方、生活についてが書かれてありますが、なんというか、繰り返しが多くてしつこい。
これは、「〜の流儀」にも同じことが書かれてあるから、そう思うのでしょうか。

また、筆者が母親を亡くし松山夫婦に依存していく様子は、読んでいて息苦しくなります。
松山夫婦を「とうちゃん」「かあちゃん」と呼び、
また松山夫婦も自分のことをそう呼ぶのですが、
家族ごっこを見ているようです。
実際、家族に恵まれなかった松山夫婦、母を亡くし松山夫婦に依存していった筆者、ともに家族ごっこから本当の家族になっていったのでしょう。
筆者は高峰秀子さんの養女になっています。

この本を否定的にとらえた方は、かなりいらっしゃるようです。
あとがきに、次のような一文があります。

「読んでいてウンザリする。書いた本人が登場するなんて、こんなものはノンフィクションじゃないですよ」、文集の若い編集者は私をせせら笑った。「自分の母親が死んだからといって大女優の高峰秀子を母と思うなど、この筆者は図々しい」、文芸評論家は書いた。「高峰さんを『かあちゃん』などと呼ぶ人の書評なんか書きたくない」、評論家は言った。
(省略)
だが、もし大女優の高峰を母として私が慕う事実が嫌悪されたとすれば、本当の家族になってしまった今、あの頃私が高峰を「かあちゃん」と呼ぶことに唾吐きかけた人々は、もう一度改めて唾棄するのだろうか。

私は、筆者が養女になった後だとしても、評論家の感想は変わらないのではないかと思います。
私は、高峰秀子さんの女優としてのすごさをしりません。
そんな私でさえ、この本を読むのは苦労する。

高峰秀子はこんなにすごいのよ!」
高峰秀子はこんなに苦労したのよ!」
「私は、こんなにすごい高峰秀子と、こんなに濃密な交流があったのよ!」

そう、大声で言われているようで、辟易します。

この筆者の高峰秀子さん関連の本は、もう読まなくていいな。
そう思いました。
それよりも、高峰さんご自身が書いた本を読もうと思います。