祖父に戦争体験を聞いた時のこと。
小学校5年生のとき。
夏休みの宿題で、
「おじいちゃん、おばあちゃんに戦争体験を聞こう」的なものがありました。
祖父の家に行った時。
「戦争中、どんな生活をしていたの?」
と聞きました。
満州にいたことは、それまでにも何度か聞いたことがあります。
でも、戦争中にどういう行動をしたのかまでは聞いたことがありませんでした。
具体的に聞こうとすると、言葉を濁す祖父。
それでもしつこく聞こうとすると、
「うるさい!!!もう聞くな!!!!!!」
と、それはそれは激しい口調で叱られました。
祖父にそんなに大声で怒鳴られたことがなかったので、
びっくりしたのと怖かったので、泣いてしまった私。
その私に、祖母は、
「聞かんでやって。」
と、ぽそり。
その代わりに、
祖母が体験したことを話してくれました。
家で祖父がいない間、どうやって生活していたのか。
引き上げ船に乗るまでのこと。
引き上げ船の中でのこと。
博多港についた後のこと。
私は、祖母から聞いた内容を作文にして、夏休みの宿題として出しました。
しばらくたって。
祖父の怒鳴った理由が分かりました。
思い出したくなかったんだよね。
きっと、孫には聞かせたくないことがたくさんあったよね。
命を、奪ったこともあったよね。
戦争が終わって、今までの常識がガラッと変わって。
天皇陛下のために戦ったのに、
まるで自分たちが極悪人のように言われて。
孫達はどうして戦争になったのかは学んでなくて、
「戦争は悪い!」とだけ教わって。
なんて残酷な宿題だったんだろう。
なんてひどいことを聞いてしまったんだろう。
今でも、夏になると思い出して、後悔します。
戦争体験を聞くのも大事。
でも、それ以上に、
国として、戦争がどうして起きたのかを、
まずは教わりたかった。
戦地での悲惨な状況や、
沖縄について、原爆についてのショッキングな内容ばかりが先立って、
肝心の、「なぜ戦争になったのか」
をあまりにも知らなさすぎる。
今の子どもたちは、さらに知りません。
今は私は、自分で本を読んで学ぶことができます。
でも、それはたまたま興味を持ったから。
学校でこそ、学ぶべきなのでは?
そう、思えてなりません。