足るを知る

スッキリ・凛とした生活を送りたい。日々のアレコレ。

【読書記録】峠うどん物語(上)(下)

先日読んだ「つむじ風食堂の夜」の世界がとても好きだったので、
同じ人が薦めてくれたこの2冊も、読んでみました。

yunbox.hatenablog.com

読んで良かった!!
この本と、「つむじ風食堂の夜」をfacebookに紹介してくれていた知人に、感謝。
重松清さん、いいわ〜。

市営斎場の向かい側にひっそりと店を構える、「峠うどん」。
お通夜や告別式の後、
ちょっと思い出話をしたり、
心を落ち着けたい参列者がふらりと立ち寄るお店です。
このお店を切り盛りするのは、老夫婦と中学生の孫娘、よっちゃん。
よっちゃんはお店を手伝うことで、大切なことを学んでいくのです、、、。

生真面目に黙々とうどんを打ちツユを仕込む、おじいさん。
接客担当、明るくて世話焼きで、おじいさんのことが大好きな、おばあさん。
そして、両親に反対されつつも「峠うどん」を手伝う、よっちゃん。

この3人の会話が、とても好きです。
わからないことをわかろうとして、つい言葉がすぎるよっちゃんを、
おばあさんは言葉で、おじいさんは態度で導きます。

上巻も下巻も、いくつかの物語から成り立っています。
みな、市営斎場に関係するものなので、人の死とは無関係ではありません。
でも、どれもとても温かくて、優しい。
綺麗事ではない優しさが満載の物語ばかりです。

中学生のころから、人の死と向き合っているよっちゃん。
それは、とても大事なことなのではないでしょうか。
今は人の死を実感することが、あまりありませんから。

私は、初めて直面したのは、父方の祖父のお葬式でした。
もう社会人になってから。
それまで、幸せなことに「死」と向き合う場面がなく、
また、祖父の死も実感がわかず、
ただ、父が火葬の場で大泣きし始めたのをみて、
「あぁ、おじいちゃんにはもう会えないのか」
という実感がわき、父につられるように涙が溢れました。

泣けない自分が冷たい人間だと自己嫌悪に陥っていたのに、
いちど涙が出ると今度は止まらず。
感覚が鈍かったというか、分かっていなかったというか。
「死」を感じさせてくれた祖父には、本当に感謝しています。

その後、祖父母たちを何人も見送りました(主人の方も入れると、5人)。
みな90歳以上まで頑張って、
最後に、私達夫婦や子どもたちにまで、色々なことを教えてくれました。
子どもたち、息を引き取る瞬間に立ち会えたことは本当に良かったと思います。
今も、その話をします。

もっと、人の最後について、感じたり、学ぶ場所があってもいいのでは?
いつも、そう思っています。

この本、子どもたちにも薦めようと思います。