【読書記録】日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか
以前読んだ、「日本人が一生使える勉強法」の著者、竹田恒泰さんの本です。
日本人であることに、なんとなく申し訳なさを感じることがあります。
中国の人たちの排日感情、従軍慰安婦問題、靖国神社問題、
そして、毅然とした態度を取れない政治家、などなど。
そんな私が日本人であることに少しだけ誇りを持てるようになりました。
序章や対談を含め、9つの章から成り立っています。
- 世界でいちばん人気がある国「日本」
- 頂きます【いただきます】
- 匠【たくみ】
- 勿体無い【もったいない】
- 和み【なごみ】
- 八百万【やおろず】
- 天皇【すめらぎ】
- ジャパン・ルネッサンス
- 日本は生活そのものが「芸術」だ 北野武×竹田恒泰
序章:世界でいちばん人気がある国「日本」
正直、世界でいちばん人気があるとは思えなかったのです。
だって、ニュースや新聞で報道されるのは、日本バッシング(とくに中国・韓国の)ばかり。
でも、この章を読んで、ちょっと認識が変わりました。
細かな数値データをもとに、どれだけ人気があるのかを竹田さんは示してくれています。
意外だったのは、中国でも、若い世代(反日教育を受けている世代)にも日本が人気があるということ。
ちょっと救われた思いでした。
マスコミは、報道にもう少し平等性を持たせてほしいなと思います。
反日行動を取っている外国の様子を報道すると、日本人も萎縮してしまうし、日本人もその国を嫌いになってしまいますよね。
実際、ヘイトスピーチがすごかった時期があります。
ショッキングな映像を流して視聴率を取るのに必死なんでしょうが、
ちょっと考えて報道をしてほしいなと思います。
我が家にはテレビがないので子どもたちは見ずに済んでいますが、
テレビから洗脳されている子どもたちも多いと思いますよ。
日本人が自虐史観を持っているのは、なぜか。
政治家がいくら、「美しい国」だのなんだのキャッチコピーをつけても、
しっかりと歴史を知らないからじゃないですかね。
良い歴史も悪い歴史も含めて、「臭いものに蓋」でない教育が必要だと思いますが、、、。
1章:頂きます【いただきます】〜ミシュランガイドが東京を絶賛する理由
日本人の食へのこだわりの根底には、日本食の精神文化があるのではとあります。
日本人にとって、食事することや料理すること自体がすでに神事である、と認識し、
食事のたびに手を合わせて自然の恵みをいただくことに感謝を捧げてきました。
と同時に、最近の日本食の精神文化の低迷を憂いています。
数年前、小学生の保護者が、
「給食費をはらっているのだから、いただきますの挨拶は必要ない」と意見をして問題になりましたよね。
私は、このお母さんの心の貧しさは気の毒だし、そんな母親に育てられている子どももかわいそうに、、、と思いました。
そんなふうに、金銭面での価値観ばかりを重視した生活をしていると、感謝の気持ちも持てないと思います。
私は、「いただきます」という言葉、大好きです。
そして、その根底にあるのは、お米。
米作りもまた、神事。
そんなお米を食べる量が年々減ってきているということに、竹田さんはまた、危機感を持っていらっしゃいます。
2章:匠【たくみ】 〜日本語には原子日本から継承されてきた”和の心”が宿る
20代の頃、家族と一緒に台湾旅行をしたことがあります。
その際、台湾のガイドさん(日本語がペラペラの、50代の男性でした)が連れて行ってくれたのが、烏山頭ダム。
そして、このダムの建設の中心人物だった、八田與一の銅像を見せてくれ、
台湾人がどれだけ日本に感謝しているか、、、という歴史を教えてくれました。
それまで、台湾の人たちも中国・韓国と同様に日本人を嫌っているのかなと思っていたので、
ちょっとびっくりしました。
この八田與一について、竹田さんは次のように言っています。
現在でも台湾で八田夫婦が慕われていることは、日本と台湾野有効の歴史を象徴するものではなかろうか。それにしても、日本で八田のことがあまり知られていないのは残念でならない。本来ならばこのようなことこそ、教科書で教えるべきである。
本当にそう思います。
技術者を尊い人物として教科書にのせることこそ、大切なのではないでしょうか。
モノづくりの国、日本。
でも、そのモノづくりで国を支えてきてくれた人たちのことを、私たちはあまりにも知らないと思います。
その他にも、大東亜戦争末期にウズベキスタンに強制連行され、現地で建設作業にあたった日本軍兵士の手抜きをしない仕事ぶりが紹介されています。
特に、ナヴォイ劇場の完成度の高さ。
1966年に震度8の地震が起きた時、周りの建物は倒壊したなか、ナヴォイ劇場だけは無傷だったこと。
ウズベキスタン人の若者が、母親から「日本人のような真面目な人になりなさい」と教えられて育てられたことなど、
驚きのことが書いてあります。
ここでも竹田さんは、次のように憂いています。
ただし、拝金的な個人主義が横行する現代日本の姿を見ていると、果たして五十年後の日本が、これまでのように、世界の人々に愛されるモノづくりをする気質を保っていられるか、不安に思うことがある。今一度、モノづくりに対する日本人の気質を見つめなおすべき時期にきているのではないか。日本人が世界で愛されるのは、日本人のモノづくり精神によるところも大きいはずである。
私たちは、戦後の復興でモノづくりに従事してきた方たちの偉業で、海外の人たちに尊敬されている部分がある。
では、私たちは、子どもの世代にそんな自尊心を与えることができるか。
考えさせられる章でした。
3章:勿体無い【もったいない】 〜
原始民族のうち、現在でも言語だけでなく国土と国家を持っているのは、世界でも日本だけ。
そのことに驚きました。
世界の公用語となっている英語は、色々な民族の言葉を融合してできた言葉。
英語ほど、異なる言語から多くの単語を借用してきた言語は他にないそうです。
日本語の中にも、英語となった言葉があります。
など。 あまり誇らしいとは思えない言葉が英語に転用されている中、
mottainai(もったいない)
は、日本が誇る素晴らしい言葉だとあります。
日本語の「もったいない」のように、自然や物に対する敬意と愛の意思が込められている言葉は、他の言語では見つからないそうです。
またここでも、「いただきます」論議について書かれてあります。
ちなみに、「いただきます」「ごちそうさま」は、
本来ば1拝1拍手の後に和歌を読み、その後に発する言葉だったそうです。
食前の和歌は、
「たなつもの 百(もも)の木草も天照らす 日の大神のめぐみえてこそ」
食後の和歌は、
「朝よひに 物くふごとに豊受(とようけ)の 神のめぐみを思へ世の人」
だそうです。
日本語の成り立ちについての部分も、とても興味深く読みました。
日本語って美しいなと思います。
4章:和み【なごみ】 〜
「非戦闘員を戦争に巻き込まない」
これは、日本人独特の考え方。
他国では、侵略した国の兵士はもちろん、女性や子どもなど非戦闘員までも虐殺してきた歴史に事欠かない。
特に宗教戦争では。
まずはそのことが述べられています。
では、なぜ日本では民間人を殺す戦争が行われなかったのか。
竹田さんはその理由を、
- 天皇が民を「大御宝(おおみたから)」として大切にしてきた →民は天皇の宝なのだから、武士同士が戦うのならともかく、武士が民を殺すことに正当性を見いだせなかった
- 日本人が古来から育んできた「和」の精神→無益な戦争を排除する効果を発揮
のためではないかと考察されています。
また「和」について、孔子の言葉
「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」
が、和の真髄を表しているとあります。
和は妥協して同化することではない。(省略)
日本人は君子たる天皇はもちろんのこと、小人すなわち民衆であっても、和して同じない君子の生き方をしてきたことは確認しておきたい。
5章:八百万【やおろず】 〜
日本文明の最大の特徴の一つは、「自然との調和」。
その例として、伊勢神宮の遷宮に向けての森作りや、江戸の街の仕組みについて述べられています。
欧米では、都市は森林と対立する概念として考えられている。
日本では、江戸という大都市が自然と調和しながら栄えてきた歴史がある。
しかしその日本も、現在では欧米化した都市が増え、自然と調和をとるのが困難になってきています。
日本人は環境問題を解決する鍵となる伝統的な価値観を持っているのに、
当の日本人はその伝統的価値観を失いつつあり、
外国の人びとは日本人の伝統的価値観にこそ、尊敬の念を抱いている。
そう書いてあります。
6章:天皇【すめらぎ】 〜
日本は世界最古の国。
「中国4000年の歴史」とよく言われますが、4000年前の中国の国と現在の国とは別物。
国家として連続した営みを行ってきたのは、日本のみ。その期間、2000年。
その中心として、古から「天皇」があった。
天皇とは、王として民の上に力で君臨する存在ではなく、日本国の「祭り主」。
祈る存在なのです。
国の、国民一人ひとりの平和を「祈る」。
これが神事であり、天皇の役目。
神事を行い、和歌を詠み、言祝ぎ、国の平和を祈ってきた天皇。
日本人にとって、心の中心である、天皇。
他国の、力で民を抑えてきた「王」とはあまりに違う存在です。
大東亜戦争終結後に昭和天皇がマッカーサー元帥とお会いになった際に「この戦争の責任はすべて自分にある。自分の命はどうなっても構わない。一億の民を飢えさせないでほしい」と仰せになったことはよく知られている。
天皇は、自らを犠牲にしてでも民を守ろうとするもの。
驚きです。
日本の天皇は、「千代に八千代に」と歌われるように、未来永劫、継承され守られるであろう。もし世界から王がいなくなって、不滅といわれたトランプのキングと英国王がなくなったとしても、天皇(すめらぎ)だけは君臨しつづけるに違いない。そして、天皇(すめらぎ)が安泰ならば、我が国は大丈夫なのである。
終章:ジャパン・ルネッサンス 〜
明治維新(ジャパン・ルネッサンス)は正しかったか。
(省略)
明治維新で我が国が大国への道を選んだ代償として失ったものは、「日本文明」である。
もし日本人が今のように金銭的な豊かさだけを追い求めていたら、将来の日本は見るも無残なすがたになるであろう、と竹田さんは憂いています。
日本の良さを認識しているのは、日本人ではなく異邦人。
日本人は、特に若い世代には、日本の魅力を伝えるべきです。
そして、その魅力を堂々と世界に伝えるためにこそ、英語を使うべき。
そう、思いました。
巻末対談:日本は生活そのものが「芸術」だ 北野武×竹田恒泰 〜
北野武さんと竹田さんの対談、とてもおもしろいです。
「羅生門」をはじめとして、日本映画で海外で表彰を受けた作品はすべて、外国に媚を売らない作品。
映画監督らしい指摘ですね。
また、たけしさんは、「子どもの文化的な教育は絶対に必要」だとおっしゃっています。
いわゆる、「躾」。
「子どもの個性を尊重する」ことと、「やりたい放題を認める」は、全く違いますよね。
誤解を恐れずに言えば、私は、心の中に「神」と持つことは、大事だと思います。
戦前の天皇崇拝とはまた別です。
ご先祖さまという「神」。八百万の「神」。
私は小さなころから祖父母に、「ご先祖様が見ているよ」と言われてきました。
何か行動するとき、「見られて恥ずかしくないかな?」と気にする癖がつきました。
祖父母には、感謝しています。
今からの子どもたちには、日本を誇りに思えるような歴史教育をしてほしい。
政治家にとって都合の悪いことを隠すのではなく、
どういう経緯でこの国が建国され、どう天皇をあがめてきて、どう間違って、
そして、どういう国として今は世界の中にあるのか。
諸外国にも、毅然とした態度で政治家には接して欲しい。
民間人にこそ、そういう毅然とした素晴らしい人が多いと思います。
そして、私の子どもたちが大人となったときにも、
日本が海外で尊敬される、人気がある国であってほしい。
そう切に思いました。
どうか、「日本文明」が滅びてしまいませんように。
↓次はこの本を読む予定。