足るを知る

スッキリ・凛とした生活を送りたい。日々のアレコレ。

【読書記録】天才と発達障害

この本を読んだキッカケは、
イケダハヤトさんのブログ記事を読んだから。

www.ikedahayato.com

騙されたと思って読んでみました(笑)。

3つの章から成り立っている本です。


  1. あなたは視覚優位か、聴覚優位か。
  2. アントニオ・ガウディ「四次元の世界」
  3. ルイス・キャロルが生きた「不思議の国」

第1章 あなたは視覚優位か、聴覚優位か

普段、娘の物事の見方と私とでは違うなあ感じることがあります。
娘は、街中のふとしたものの姿やポスターなどをとてもよく覚えています。
「さっき、こんなポスターあったでしょ、その中のね、、、、」
という話をよくしてくれるのですが、
母の目にはまったく入っていない。
そして、その画像を再現するのが得意です。
よく、絵を書いていますが、よく細かいところまで覚えています。
ちょっとしたイラストを描くのも得意。
物事の特徴を正確にとらえてるんだなあと感心します。

逆に、私がラジオを聞いていてその話題について話そうとすると、
息子は反応早いのですが、娘は「え?なんのこと?」。
今、流れていた話題なんですけどね^^;
そして、同じ会話の中に入っているのに、よく聞き返すことがあります。
「それって、どういうこと?」と。
細かく説明してあげるとわかるのですが、
ぱっと理解するのは難しいみたい。
算数(数学)でも、図形の問題は得意なのですが、
文章問題は苦手。
その文章を私が絵で説明すると、スラスラと解けるのです。

この本を読んで、なんとなくですが、
娘はどちらかといえば、視覚優位な気がしました。
そして、私と息子は、聴覚優位かもしれません。

かといって、どちらかが突出しているわけではありません。
バランス的に、娘は視覚のほうが少しだけ優位、
私と息子は聴覚のほうがちょっとだけ優位、といったところでしょうか。
なので、普段の授業ではまったく問題はありません。

ただ、このバランスの度合いの大きさで、学習障害として認定されている子もいる。
そして、その偏りが大きい子には、その子用の学習方法を見つけてあげる必要がある。
この部分がとても興味深かったです。

それは、息子が小学生のときに、クラスに聴覚が過敏な子がいたから。
他の子が聞き流せる音でも、その子は気になってしかたがない。
あまりにも辛くなると、クラスから逃げ出す。暴れる。
息子が「かわいそうなんだよ、両耳をふさいじゃって」と言っていたのを覚えています。

きっと、そんなふうにクラスでは勉強しづらい子って、たくさんいるんだと思います。
でも、学校では集団行動が原則。
我慢しなければいけない場面がたくさん。
また、親がその状況を理解してあげられるならいいのですが、
わが子が「学習障害」と判断されることは、親にとってはつらいこと。
認めたくなくて、さらにわが子に我慢を強いることもありますよね。
でも、この「視覚優位」「聴覚優位」という分け方が理解されれば、
きっと親も自分の子に合った学習方法があるんだと安心できるし、
これも子どもの特色(才能)なんだと思えるのではないか。
この章を読んで、そう思いました。

第2章 アントニオ・ガウディ「四次元の世界」

ガウディは、父方・母方両方が、「視覚優位」の家系だったようです。
なので、小さな頃からガウディの理解の仕方について、
両親ともに理解してくれている。
そのことが、ガウディの才能を伸ばす一番の要因だったようです。

自分の才能を認めてくれる両親のもとで育てば、
周囲の人間との信頼関係も作りやすくなる。
それは、自尊心を育ててもらえるから。

建築用語など、私には理解が難しい言葉が出てきますが、
ガウディの生い立ちと両親との関係、周囲の協力者についてなど、
ガウディを取り囲む人間関係の部分がとても興味深かったです。

年をとるとともに頑固になっていくガウディを支えていた人たち。
その人たちとのつながりを作れたのも、
やはり、理解ある育て方をした両親のよって自尊心を持てていたから。

そう思うと、育ててきた我が子に自尊心を植えつけてあげれているかが心配になりました。

第3章 ルイス・キャロルが生きた「不思議の国」

恥ずかしながら、ルイス・キャロルについては今まで、
不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」の作者、
という認識しかありませんでした。

冒頭のルイス・キャロルの肩書を読むと、
オックスフォード大学の数学の講師で、
児童文学者で、
写真家で、
英国国協会の牧師で。
おどろきです。

このキャロルが聴覚優位で敏感な言語感覚をもち、この認知の偏りから苦悩を感じていたとは、知りませんでした。
また、吃音で悩んでいたという部分、そして11人兄弟のほとんどが同じように吃音で悩んでいたという部分も興味深かったです。

聴覚優位の特徴として、 文章に声の表現や会話の内容については詳細に記載されるが、色彩や人の表情についてなど映像情報が殆ど無いそうです。
比較対象として、視覚優位のダーウィンの文章が挙げられています。
確かに、アリスやハートの女王、ハンプティーダンプティーなど、登場人物(?)はみな、
怒涛の勢いで話をしますよね。
視覚優位の人が「鏡の国のアリス」を読むと、
映像情報がほとんど入ってこないのでストレスになるそうです。
これは、筆者が視覚優位の方なので、実体験として載っています。

キャロルのように極めて聴覚優位な認知の仕方をする人の中には、
やはりキャロルのように、視覚的な問題を抱えている場合が多いそうです。
色彩感覚が乏しい、3次元で奥行きを捉えることが難しい、
顔や表情を認知できない(相貌失認)など。
不思議の国のアリス」のハンプティーダンプティーのセリフで、
相貌失認の特徴を表している文章が文中に引用されています。
筆者は、これはキャロルがハンプティーダンプティーの口から語らせたのではないかと、
考察しています。

キャロルが相貌失認だったと思われること、
そして、それによるキャロルの苦悩。
周りの人たちとの軋轢。

今も、そんな特徴をもった子どもたちが、学校生活で苦労しているのでしょう。
本人は上手にそのことを周りの大人に伝えられず、
周りも、その子を理解することができず、
辛い生活を送っている子がいると思います。
そして、身近にいるのかも。

あとがきに、筆者は次のように記しています。

ガウディとキャロルの認知特徴にみるように、人はこれほどまでに、じつは「違っていた」がゆえに、豊かな文化をすでに築いてこられた、という理解があってもよいのではないでしょうか。

自身が視覚優位の認知特徴があるために、認知方法の違いに注目し、
聴覚優位の認知についても研究してこられています。
筆者の岡南さん、素晴らしい本をありがとうございます。

そしてイケダハヤトさん、素晴らしい本を紹介してくださり、ありがとうございます。